アルデヒドとケトン

カルボニル化合物】              

 一般に〔 CO− 〕を〔 カルボニル 〕基という。特にカルボニル基の炭素原子に水素原子が1個結合した〔 CHO 〕を〔 アルデヒド 〕基といい,アルデヒド基をもつ化合物R-CHOを〔 アルデヒド 〕と総称する。また,カルボニル基の炭素原子に炭化水素基Rが結合した化合物R-CO-R’を〔 ケトン 〕と総称する。またケトン中の=C=Oを〔 ケトン 〕基という。

 

【アルデヒド】

アルデヒドは,同じ炭素数で同じ骨格の〔 第一級アルコール 〕を酸化すると得られる。(アルコールの酸化反応(脱水素反応)」参照

アルデヒドの名称は炭素数の等しいアルカンの語尾ealに変える。簡単にいえば,アルカン名の「ン」を「アール」に代える。HCHOはメタナール,CH3CHOはエタナールなど。ただし,慣用名を使うのが一般的である。

 
 

ホルムアルデヒドとアセトアルデヒド

ホルムアルデヒドは,メタノールの蒸気を赤熱した銅線(酸化銅(U)CuO)に触れさせ酸化すると得られる。

 〔 CH3OH CuO → HCHO + Cu + H2O 〕

ホルムアルデヒドは刺激性の気体で,その40%水溶液を〔 ホルマリン 〕という。ホルマリンは,消毒剤・防腐剤や合成樹脂の原料に用いられる。

アセトアルデヒドはエタノールをニクロム酸カリウムK2Cr2O7の硫酸酸性溶液で酸化すると得られる。工業的にはエチレンを酸化(ワッカー酸化)して得られる。

 工業的:〔 2CH2CH2 + O2 → 2CH3CHO 〕

      (ワッカー酸化:PbCl2とCuCl2を触媒として,アルケンを酸素によってカルボニル化合物へ酸化する)


アルデヒドの酸化

アルデヒドは比較的不安定(反応しやすい)ため,酸化するとアルデヒド基−CHOが酸化剤の酸素原子を取り込んでカルボキシ基−COOHに変化する。そのため,アルデヒドと同じ炭素数で同じ骨格の〔 カルボン酸 〕になる。

カルボン酸の名称は炭素数の等しいアルカン名に「酸」をつける。HCOOHはメタン酸CH3CHOはエタン酸など。ただし,慣用名を使うのが一般的である。

 
 

アルデヒドの還元性

アルデヒドは酸化されてカルボン酸になりやすい。酸化されやすいということは相手を〔 還元 〕する性質が強いということである。そのため,アルデヒドは〔 銀鏡反応 〕を示し,〔 フェーリング液 〕を還元する。

 

銀鏡反応: アンモニア性硝酸銀[Ag(NH3)2]+を含む水溶液)にアルデヒドを加えて温めると,ジアンミン銀(T)イオン(酸化数+1)が還元されて,単体の銀(酸化数0)が析出する。

反応式  2[Ag(NH3)2] R-CHO 3OH 2Ag R-COO 4NH3 2H2O  

R-はアルキル基(炭化水素基))

 

フェーリング反応: フェーリング液(Cu2(酸化数+2)の塩基性の溶液)にアルデヒドを加え温めると,酸化銅(T)Cu2O:酸化数+1)の赤色沈殿を生じる。

反応式  2Cu2 R-CHO 5OH → Cu2O↓ + R-COO 3H2O  

R-はアルキル基(炭化水素基))

【ケトン】

ケトンの名称は,-CO-(ケトン基)に結合している炭化水素基をアルファベット順に並べて,最後に「ケトン」と付ける。CH3-CO-CH3は慣用名で「アセトン」という。

ケトンは,同じ炭素数で同じ骨格の〔 第二級アルコール 〕を酸化すると得られるアルコールの酸化反応(脱水素反応)」参照

ケトンはアルデヒドと〔 構造異性体 〕の関係にあるが,これ以上は酸化されない。すなわち,〔 還元 〕性を示さない。

 

アセトンの性質と製法

アセトンは無色の液体で,有機溶媒として用いられ,有機化合物をよく溶かす。また,〔 〕とも任意の割合で溶解するので,非常に便利な溶媒である。アセトンの製法には,ケトンの一般的な製法である第二級アルコールの酸化とその他いくつかの方法がある。

酢酸カルシウムの熱分解(乾留:空気を絶って加熱する) 〔 (CH3COO)2Ca → CH3COCH3 + CaCO3 

 プロピレンの酸化(ワッカー酸化) 〔 2CH2CHCH3 + O2 → 2CH3COCH3 〕


【ヨードホルム反応】

アセトンの水溶液にヨウ素I2と水酸化ナトリウムNaOH水溶液を少量加えて温めると,黄色結晶のヨードホルムCHI3が生成する反応。ヨードホルム反応を示す化合物は,右の(1)の構造をもつアルコールとその酸化生成物である(2)の構造を持つものだけである。

 
 

例題 

@ アセトン  A 2-プロパノール  B 1-プロパノール C エタノール  D メタノール  

 E
 アセトアルデヒド
   F ホルムアルデヒド  G 酢酸  Hギ酸 を次の指示に従って分類し,構造式で記せ。

1)銀鏡反応を示すもの (2)ヨードホルム反応を示すもの

 
 

(1) −CHOをもつもの EFH  (2) @ACE Rは炭化水素基かHGROHだからだめ)